説教『まわり道』牧師 若月健悟

最終更新: 9月11日

2020年9月6日(日)聖霊降臨節第15主日礼拝説教要旨

《聖書》出エジプト記13章17~22節

【はじめに】

 車を運転していますと、できるだけ近道をしたい気持ちに駆られてしまうのです。そのためか、近道だと思っていった道が工事中や行き止まりになっていて遠回りをして、かえって余計な時間をかけてしまうことがあります。

 もう一方で、近道を避けて遠回りをしたことで、思いもかけない良いことに出会うこともあります。既に稲刈りが始まっていますが、田植えが終わって、しばらく経った5月初旬の水田は、辺り一面が緑のじゅうたんになります。田んぼには水が残っていますので、そこに周りの景色が映るのです。特に筑波山を映し出す緑のじゅうたんは、何とも言えない美しい景色です。短い期間ではありますが、毎年その景色を見るのがとても楽しみです。

 つくばみらい市の消防署は田んぼの中にあります。その消防署とつくばエクスプレス線との間の水田はとても広々としていますが、田んぼの中の道は、どれも細い道です。人と車に出会うことはありません。それだけに、車を留めて、水田に映る筑波山を眺めていますと、とても心が休まるのです。

 まわり道も、時には大切なことを教えてくれます。気の短いわたしには、まわり道も良い道のようです。

 では、聖書は、どのように語り掛けているのでしょうか。

【神さまの導き】

 出エジプト記は、イスラエルの民が430年間(12章40節)住んでいたエジプトを脱出する物語です。聖書の付録「聖書地図2 出エジプトの道」をご覧いただきますと、エジプトのゴシェンを出発しまして、スコトに宿営し、そのあと紅海(スエズ湾)の東側をシナイ半島の南へと進むルートが示されています。

 ですが、乳と蜜の流れる約束の地カナン、つまり現在のパレスチナのことですが、カナンへたどる最短の道は、地中海の海岸沿いに北上することです。「乳と蜜の流れる」とは、豊かで自由であることを意味しています。希望の地を示す御言葉です。

 ですが、神さまは、最短のルートを取らせずに、それとは反対の遠回りのルートを示されたのです。聖書地図でお分かりのように、エジプトとカナン地方との間に立ちふさがるシナイ半島は、すべて「荒れ野」になっています。北から南まで「シュルの荒れ野」「パランの荒れ野」「シンの荒れ野」と三区分されている荒れ野です。神さまが、イスラエルの民を、どうして荒れ野へと導かれたのか、それには理由がありました。

【まわり道】

 神さまがイスラエルの民をまわり道へと導かれたことには、3つの理由と目的があります。

  ①イスラエルの民がカナンの地に入るのは、ヨルダン川を東から西へと渡るためです。

  ②ヨセフの遺骨をカナンの地にあるシケムに埋葬するためです。

  ③荒れ野で神さまが一緒におられるしるしを与えるためです。

 ①のヨルダン川を東から西に入る、まわり道をしたのは、海岸沿いのペリシテ人の道がふさがれていたためです。エジプトの王ファラオ・セティ1世が北からの攻撃に備えて、砦を築いて防備を固めていたのです。エジプト脱出の数十年前のことです。それで、エジプトの軍事力を前に、最短ルートのペリシテ人の道を通ることは断念せざるを得なかったのです。このまわり道は、信仰の訓練期間となりました。

 ②のヨセフの遺骨をカナンの地に埋葬するというのは、ヨセフの遺言を実現するためです(創世記50章25節)。埋葬の場所はカナンの地のシケムとなりますが、シケムで神さまとの新たな契約を結ぶためなのです。シケムは、父ヤコブが買い取った土地でした。このシケムにおいて、イスラエルの民十二部族が、エジプトを脱出させてくださった神さまとの新たな契約を立て、ただ御独りの神さまだけを信じる信仰告白をなすのです。シケム契約と呼ばれます。シケムはカナンの地の中央部に当たります。ヨセフの遺骨埋葬は、ただ御独りの神さまを信じる信仰の契約をなすための訓練期間となったのです。

 ③の神さまが一緒におられるしるしというのは、イスラエルの民には目に見える具体的なものであり、なおかつ大勢の人々に分かりやすいものでなければなりませんでした。そのしるしが、「火の柱」「雲の柱」なのです。このしるしは、神々の世界の中で、ただ御独りの神さまを主と告白する訓練期間となりました。

【火の柱・雲の柱】

 火の柱は、文字通り火柱のことです。神さまの力を象徴しています。人間と動物の決定的な違いは

〝火の扱い〟にあると言われます。火を扱うことができるのは人間だけであるからです。人が火を扱えるようになるまでは、火は神さまの御業でした。神さまが起こす火は、大自然を呑み込み、燃え尽くす巨大な火であることです。火は、そのような神さまの御力を秘めていることから、神さまが支配される巨大な御力を現わし、イスラエルの民を守り導くしるしとなったのです。

 雲の柱はどうでしょうか。雲は、神さまのとらえどころのない神秘的な性質とされています。雲の中から神さまの御声を聞き取ることは、アブラハムやモーセなど、特別に選ばれた人だけの賜物でした。雲の中から神さまの御声を聞き取ることができる人を「神の人」と呼びまして、神さまと人を執り成す特別な存在となったのです。雲は、神さまの御心を伝える役割を果たすしるしとなったのです。

 イスラエルの民にとりまして、火の柱、雲の柱は、目に見えるしるしとなり、肌身で感じ取れる神さまの御力と御心の伝達手段として、常に身近にあったのです。イスラエルの民の前にあり、傍らにあり、後ろにあり続け、常に守り導いたのです。

 このことを現実に見せているのが、動物を犠牲として献げる儀式としての礼拝なのです。イスラエルの民は、荒れ野の40年の旅路を、どのような困難な状況の中に置かれても、食糧となる大切な動物の犠牲を献げて礼拝を守り続けたのです。それが、イスラエルの民を守り導き、助け救ってくださる神さまへの信仰を現わす精一杯の見える形であったからです。

 犠牲を燃やす火の柱、立ち昇る雲の柱は、神さまを礼拝する人々にとって、神さまが一緒にいてくださることをもっとも身近に感じることができる見えるしるしとなりました。

 「昼は雲の柱、夜は火の柱が、民の先頭を離れることはなかった」と、22節は告げています。イスラエルの民にとって、今まさに始まったばかりの荒れ野の旅は、不安と恐れが支配する世界への出発を意味していました。それだけに、その不安と恐れを信仰の力と変え、ただ御独りの神さまに依り頼んで信仰を保つためには、神さまがいつも一緒にいて守り導き、助け救い出してくださるという、見えるしるしがなくてはならなかったのです。その信仰が、まだ弱かった時代には、火の柱、雲の柱が一日中見えていることが、人々の心を安らわせ、希望の旅へと導くのです。

【信仰のまわり道】

 わたしたちは、今、火の柱、雲の柱に代わって、神さまが一緒にいてくださることをどのように信じて歩んでいるのでしょうか。それはただ1つ、神の御子イエスさまの十字架と復活を信じる信仰として告白し続けることにあります。御子イエスさまの十字架と復活は、わたしたち誰もが行き着く死の現実を復活の永遠の命へと召してくださる父なる神さまの愛の御業なのです。イスラエルの民にとって荒れ野の40年の旅は、思いもかけないまわり道であり、苦難に満ちた遠回りとなりました。ですが、大切な信仰の訓練期間となりました。わたしたちもまた、そのような苦難に満ちたまわり道をたどらざるを得ない現実の中にありますが、なお、御子イエスさまの十字架と復活を通して、御国への執り成しを信じることが赦されているのです。

 この後、礼拝で執り行われる聖餐にあずかります。罪深いわたしたちが、御子イエスさまによって実現された罪の赦しの見えるしるしであるパンと杯にあずかります。深く味わいながら、聖餐を通して父と子と聖霊なる三一の神さまが、今ここに一緒にいてくださることを確信させていただきましょう。

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