説教『わたしたちの救い主』牧師 若月健悟

2021年元旦礼拝説教要旨  

【聖書】イザヤ書63章7~9節

【預言者の過去・現在・未来】

 預言者の働きは、本来、主なる神さまの御言葉を人々に語り伝えることにありました。神さまの御言葉に自分の思いを加えてはなりません。神さまの御言葉だけを語り伝えることにその使命がありました。

 では、人々の訴えを神さまが直接聞いてくださるのかといいますと、そうではないのです。人々の訴えを神さまに届ける働きを担った人が、祭司です。祭壇を築いて犠牲を献げ、神さまに執り成しをしたのです。

 人が安心して生活できる国を造り、発展させる働きを担った人が、王さまです。王さまは、わたしたちが普段の祈りの中でするように、個人的な祈りや執り成しの祈りを献げましたが、本来の働きは、神さまの御委託に応えて人の安心・安全を守ることにあったのです。

 このように1つの国を成り立たせるために、預言者、祭司、王さまの働きが分担されているのが、イスラエル王国の特徴でした。

 では、預言者イザヤの場合は、どうだったのでしょうか。大預言者と呼ばれたイザヤには、特徴的な個性がみられるのです。それは、イザヤの預言には、過去、現在、未来があることです。現実を見据えながら、過去から未来へと御言葉を取次ぐのです。

【過去】

 では、イザヤの預言の過去とは何でしょうか。それは、神さまが人に約束されたことにあるのです。約束は、過去になされたことです。つまり、イザヤは、神さまが、かつて人に約束されたことを過去にさかのぼって思い起こしていただくように努めるのです。神さまが御心を動かしてくださらないことには、何も始まらないのです。そのために、イザヤは過去になされた約束にこだわるのです。

 どうして、神さまに約束されたことを思い起こしていただくことが大切なのでしょうか。それは、神さまが1度約束されたことは、人が約束を破っても、神さま御自身から約束を破ることはないからです。

 約束のことを、聖書では契約といいます。本来、契約は、神さまと

人との間に立てられた決め事ですから、お互いにその責任を担うのです。その意味では対等の関係です。ですが、人はどんなに固い決心をなしても、約束を守り通せないことが起こります。それを罪というのです。約束に従えなくなった時、人はその罪を問われるのです。その問われている現実を裁きといいますが、この裁きは滅ぼすことが目的ではなく、教育的な指導にあります。悔い改めて本来の約束に立ち帰ることが大切です。このことを信仰の回復といいます。

 それでも、人が約束を継続し実現できない時にはどうなるのでしょうか。この時にこそ、神さま御自身から約束に立ち帰って、人に代わって、約束を実現されるのです。

 預言者イザヤは、人の混乱した現実の中で、悔い改めることもできない時がやってくることを良く知っていました。それで、神さま御自身から当初の契約に立ち帰って思い起こしていただき、神さまから一方的に人に働き掛けてくださるよう、執り成すのです。人にできないことを実現されるのが神さまだからです。

【現在】

 人は、苦しみに出会う時、その苦しみの原因が自分にあることを自覚できれば、自分の罪を悔い改めることができます。それすらできないほど、心が乱れ、放心状態になっている時には、神さまから見捨てられてしまったという思いに支配されてしまいます。

 神さまが離れ去って、もはや救い出してはくださらないと、人が感じ取っている、今この時にこそ、預言者イザヤは自ら見張りの役割を果たすのです。それは、神さまの御心の真実を人に語り続けることにあります。たとえ、人が預言者の声に耳を傾けなくとも、それでも語り続けるのです。決して、諦めないのです。語り続けることによって、神さまは、決して救いの御業を怠ったり、放棄なさらないことを証し続けるのです。それが、約束された神さまの真実であり、変わることのない一貫した御心であることを語り続けるのです。

【未来】

 未来は、神さまの約束がどのように実現されていくのを信じて心に留めることにあります。預言者イザヤは、繰り返し、神さまに立ち帰り、約束を思い起こすように人に語り掛けました。人の未来は、神さまが約束を実現してくださる希望であるからです。約束の始まりは、神さまとアブラハムが最初に立てられた契約にあります。神さまはアブラハムに、信仰の父となり、全世界の人の祝福の源となると、一方的に約束されました。それに対してアブラハムは、疑問を抱くこともなく、従順でした。多くの神々が世界中で信じられていた時代に、ただ御独りの主なる神さまだけを信じる信仰を守り通す約束をしたのです。アブラハムに始まる世界の未来は、この最初の契約に基づく祝福の実現にあるのです。

【預言者イザヤの執り成し】

 イザヤ書63章7~9節の御言葉は、どのような過去・現在・未来を見せてくれるのでしょうか。

この御言葉は神さまへの執り成しです。預言者イザヤは神さまに約束を思い起こしていただきたいのです。人は、戦争と混乱の中で疲れ果て、深い闇の中にありました。それだからこそ、先ず神さまに執り成し、神さまから行動を起こしていただきたいのです。

 そのために、アブラハムとの契約に基づいて、これまでにもなされてきた約束の数々を思い起こしていただくよう執り成すのです。イスラエル十二部族の祖先となったヤコブ、エジプトから民を救い出し十戒を授けられ約束の地へと導いたモーセ、神の国の写しとされるイスラエル王国を確立した2代目の王ダビデ、最初の神殿を建築した3代目の王ソロモンなど、多くの人を通して約束が更新されてきました。そのことを神さまに思い起こしていただきたいのです。

 預言者イザヤは「わたしは心に留めます」(7節)と語り掛け、神さまがこれまで人に与えられた御恵みを数え上げるのです。数え切れない御恵みの全てが「主の憐れみ」であり、「豊かな慈しみ」を証しするものでした。それは、神さまの愛の真実を物語っているからです。

 「彼らはわたしの民、偽りのない子である、と。

  そして主は彼らの救い主となられた。」(8節)

 主なる神さまの御心は、御自分が選ばれた人を一貫して愛し通されることにある、と証しするのです。

 だからこそ、預言者イザヤは、主なる神さまに思い起こしていただきたいのです。すぐに救いの手を差し伸べていただきたいのです。

 それだけではありません。預言者イザヤは、さらに力強く語り掛けるのです。

 「彼らの苦難を常に御自分の苦難とし

  御前に仕える御使いによって彼らを救い

  愛と憐れみをもって彼らを贖い 

  昔から常に

  彼らを負い、彼らを担ってくださった。」(9節)

 預言者イザヤにとって主なる神さまは、厳しく叱咤激励するだけの御方ではないのです。疲れ切った人、傷ついた人、小さな人、弱い人、年老いた人を御自身から背負い、担ってくださる愛と救いの神さまなのです。

【わたしたちの救い主】

 わたしたちは、預言者イザヤが見たビジョン、背負い、担ってくだ

さる御救いのビジョンを神の御子イエスさまに見るのです。御子イエスさまの十字架と復活がそれを唯一証ししているからです。神さまは、十字架と復活のイエスさまを通して、イエスさまがわたしたちの救い主キリストとなられた信仰へとわたしたちを導くのです。

 2020年は、新型コロナウィルス感染拡大に不安を抱き、先行きの見通せない1年となりました。そのような中で、これまであまり目に留まらなかった光景が、日常になりつつあることを知らされました。それは、若いお父さんが、赤ちゃんを抱っこしたり、ベビーカーに乗せたり、お子さんと手をつないで歩いている光景です。若いお父さんが子どもさんのためにできるだけ時間を取り、寄り添おうとしているのです。赤ちゃんに語り掛け、笑顔の赤ちゃんに微笑んでいる若い夫婦の姿を見ますと、何かホッとしたものを感じます。子どもを愛する気持ちは、愛されてきたことの証しでもあります。これから先、さらにこのような光景が増えていくことを期待したいと思います。

 わたしたちは今、神の御子イエスさまを救い主キリストと信じ、永遠の命に生きる希望を抱いています。預言者イザヤによって気づかされ、今もわたしたちのために、天の御国において御子イエスさまが執り成しておられることを信じ、聖霊の導きを受けて、信仰と希望と愛に満ちた新しい1年としてご一緒に力強く歩んでまいりましょう。

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