説教『名を記された教会』牧師 若月健悟

2020年9月27日(日)聖霊降臨節第18主日礼拝

《聖書》歴代誌下7章11~16節

【はじめに】

 イスラエル王国の最初の王さまはサウルです。サウル王が踏み外した最大の問題は、イスラエルの神さまである主から離れ、他の神々を信じたことです。そのため、主なる神さまから見放され、その最期は、ペリシテ人との戦いで追い詰めれ、ついに自ら命を絶つものでした。

 2代目の王さまはダビデです。ダビデは、アブラハムから受け継がれてきたただ御独りの神さまを主と信じる信仰を固く保ち、生涯、その信仰を貫き通しました。主なる神さまは、ダビデの信仰を継承するダビデ家の子孫を守り導き、ダビデ王朝の繁栄を約束されたのです。

 ダビデは、エルサレムの町を神の都とし、王宮を建てましたが、神殿を建てることは神さまから許されませんでした。それは、戦争であまりにも多くの血を流したためです(歴代誌上22章8節)。神さまは、ダビデの子ソロモンに神殿建築を約束されたのです。

 ダビデの子ソロモンが3代目の王に就いてから、イスラエル王国は、ダビデが敷いた王制を継承し、大きく発展しました。サウル王になく、ダビデ王にあった、優れた政策の1つに、外国人の登用があります。イスラエル人にはなかった知恵と知識を持つ優れた人物であれば、外国人でも喜んで受け入れたのです。それがイスラエル王国を強固にし、安定させました。その政策はソロモンに継承されました。ダビデ王になく、ソロモン王に見られる優れた政策は、外国との交易を盛んに行ったことです。イスラエルは今日もそうですが、とても小さな国です。資源の乏しい国でしたので、領土拡大だけではなく、海外との積極的な交易によって、大きな利益を得たのです。今日の日本と同じです。

 ですが、このことが、ソロモンの死後、イスラエル王国を分裂させたのです。北イスラエルと南ユダ王国が成立しますが、結果は、北王国も南王国も滅亡してしまうのです。それでも、主なる神さまは、ダビデに約束されたことを守り通されて、今日に至るのです。

【ソロモンの神殿奉献】

 ソロモンは、父ダビデが果たしえなかった神殿建築に着手し、交易で得た莫大な資金を用いて神殿を完成させました。さらにダビデが建築した王宮を拡張し、王権を揺るぎないものとしました。完成後、ソロモンは神殿の「奉献式」を7日間、「祝祭」を7日間執り行いました。

 神殿の役割は明確です。「神の箱」を収めるための特別な建物です。「神の箱」は、イスラエルの民がエジプトを脱出した後、シナイ山でモーセに与えられた「十戒」を収める木製の箱のことです。十戒は、石の板2枚に神さま御自身が刻まれた10の戒めです。「モーセの十戒」と呼ばれます。イスラエルの民が守らなければならない神さまとの契約の定めなのです。「モーセの十戒」を収めた木製の箱が「神の箱」とか「契約の箱」と呼ばれ、それを収める建物が神殿なのです。

 ソロモンは、父ダビデの遺志を継いだのですが、大切なことは、神殿は礼拝の場所であることです。ダビデは、才能豊かで、詩を創作し、自ら竪琴を弾いて歌いました。サムエル記下1章には、サウル王とその子ヨナタンの戦死を悼む、「哀悼の歌『弓』」があり、深い哀悼の思いが満ち溢れています。また、戦いに勝利した時に作った詩が、サムエル記下22章「ダビデの感謝の歌」です。何よりも、「詩編」は「ダビデの詩編」とも呼ばれています。その中でも「主は羊飼い」で始まる詩編23編は皆さんが愛読する詩編歌であり、賛美歌の中にも取り入れられています。ダビデがこれほどたくさんの詩を残したのは、主なる神さまを賛美するためです。その具体的な賛美の場が礼拝なのです。ダビデは、賛美を専門とするグループとして聖歌隊を編成しました。こうして、ダビデは今日の礼拝の原型を作り上げたのです。ダビデは生涯、幕屋と呼ばれるテントの礼拝を献げました。

 ダビデの礼拝の形式を受け継いだのが、ソロモンです。ソロモンは、父ダビデから受け継いだ「神の箱」を納め、礼拝を献げる場所としてエルサレム神殿を建てたのです。その礼拝の場所であるエルサレム神殿と、拡張された王宮が完成し、祭りも終わった夜のことです。主なる神さまがソロモンに語り掛けられたのです。

【悔い改める罪人】

 「わたしはあなたの祈りを聞き届け、この所を選び、いけにえのささげられるわたしの神

  殿とした。」(12節)

 本来なら神さまの住まいとする建物などありえないのです。ダビデからソロモンへと受け継がれた、主を神とあがめ信じる信仰の証しの場所として、ソロモンは神殿を建てたのです。アブラハム以来、天地創造の生ける主なる神さまの住まいとして固定する建物など、とても考えられないことだったのです。ですが、イスラエル王国が、天の御国の写しとして全世界に主なる神さまを証しするために、神さま御自身がこの地上の見える神殿を受け入れてくださったのです。

 人間が身に負っている罪の根源として、3つの原罪が考えられています。戦争・貧困・疫病です。この3つは、人間が造り出した不幸の源です。そうであるならば、本来、戦争も貧困も疫病も克服されることです。ですが、現実はその1つも克服されないままなのです。聖書はその現実を、アダムに始まった罪と不幸を背負う人間の物語として伝えるのです。13節はこの現実を、長期の乾期、いなごの大群により発生する飢餓、蔓延する疫病として語り伝えるのです。

 ですが、主なる神さまはその現実を通して御心を人に気づかせ、悔い改めて神さまへと立ち帰るように促すのです。

 14節は、主なる神さま御自身の御心を明らかにしています。

 「もしわたしの名をもって呼ばれているわたしの民が、ひざまずいて祈り、わたしの顔を

  求め、悪の道を捨てて立ち帰るなら、わたしは天から耳を傾け、罪を赦し、彼らの大地

  をいやす。」

 神さまは、罪を人に気づかせ、悔い改めて立ち帰るならば赦すと告げられるのです。何とも大らかで愛に満ちた御言葉かと思います。いかなる罪も、悔い改めて立ち帰るならば赦されるのです。

【赦す愛の主】

 親というのは、皆このような暖かい血の通った愛の心をもっていることを思わされるのです。わたしたちもこのことを幼い日か、長じてから体験したのではないかと思います。繰り返す親への反抗、心かたくなな子どもも、親の本気さに触れ、親の激しい怒りの根っこに、わが子を思い愛する親の本心があることに気づけば、悔い改めずにはおられなくなるのです。悔い改めた我が子を受け入れない親はありません。ましてや神さまは、激しい怒りの中にも悔い改める者を拒み続けられることはないのです。愛し赦して受け入れてくださるのです。

 主なる神さまは、ダビデとの約束を忘れることなく、守り続けられるのです。では、神さまはその証しをソロモンにどのように現されるのでしょうか。それが16節の御言葉です。

 「そこにわたしの名をいつまでもとどめる。わたしは絶えずこれに目を向け、心を寄せ

  る。」

 その場所が神殿なのです。今はその場所が教会として受け継がれているのです。

【名を記された教会】

 わたしたちは、神の御子イエスさまを救い主キリストと信じて教会に集っています。御子イエスさまの十字架と復活が、わたしたちの永遠の命の源であると信じるゆえです。この救いと命の真実は神さまが約束し実現されたことですから、確かなのです。教会はその名、御子イエス・キリストの御名を記された建物であり場所なのです。わたしたちは、父なる神、子なるイエス・キリスト、聖霊の三位一体の神と信じ、それを証しするために礼拝を献げるのです。

 「名」は、その体といつもひとつです。ですから、命が通った、名と体を切り離すとはできません。切り離せば、命もまた消え去るのです。教会は、御子イエス・キリストの御名を記した建物ですが、その証しが十字架です。十字架を掲げた建物が生ける神の御子イエス・キリストの御体なる教会と告白されるのは、その御名と建物が教会として見える形をとっているからです。わたしたちは小さな群れであり、建物も小さいのですが、その御名のゆえに教会なのです。

 御子イエスさまのゆえに神さまが絶えず御目を向け、御心を寄せる守谷教会として建ち続け、御言葉の喜びを証し続けてまいりましょう。

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