説教『囲う力、破る力』牧師 若月健悟

2020年11月22日(日)収穫感謝日・謝恩日・降誕前第5主日礼拝説教要旨

《聖書》ミカ書2章12~13節

【はじめに】

 この間、お便りをいただき、読みながらとても慰められ、力付けられました。その1文をご紹介します。

 「丸々とした柿の赤い実を見ますと、渋ぬきを考えた先人たちの苦労とその知恵を下さっ

  た神様の愛を思います。苦い〝困りもの〟が、甘く美味しい秋の味になって、今の私た

  ちにつながっている。ふと思いました。コロナも渋柿ではないか?今は大きな苦しみの

  中にいるけど、この苦しさを克服した時、私たちはきっともっと良いものにたどり着い

  ている。あの時の人々の苦労が、今はこんな形で実ったんだね、と未来の人たちがきっ

  と言うーそんな夢のようなことを、青空を見ながら思いました。」

 コロナ感染拡大がますます予断を許さない状況となりました。ひしひしと身近に迫って来ています。今は本当に〝困りもの〟です。それでも、渋柿を甘柿に変えた先人の知恵は今も受け継がれ、未来を切り開く知恵をもってきっと実現してくれる、そのように思えてきました。

 いつの時代も、困難と苦難は1つとなってわたしたちの日常を覆い、囲み込んできます。その中で、誰もがもだえ苦しみ戦わなければなりません。全く無力と思える現実の中に放り出されてしまったようにさえ思えます。それでも、先人がその中で希望を見出し、次の世代にバトンタッチしてきた力強い知恵と営みに思いを馳せたいと思います。

【預言者ミカが見ているもの】

 預言者ミカが活躍した時代は、イスラエルが北と南に分かれていた紀元前8世紀後半でした。北王国イスラエル、南ユダ王国は、共に繁栄を取り戻していました。ですが、2つの王国の内部は腐敗にまみれて、貧富の差がとても激しい時代でした。ミカは南王国ユダの農村の出身者ということもあり、エルサレムという大都市の裕福な人々が、疲弊した農民の土地を収奪する現実を目の当たりにしていました。だからこそ、神さまの厳しい審判が下るさまを思い描くのです。その裁きは、アッシリア帝国が南に下って、支配を拡大させている時代でもありました。その結果、ミカが預言した通り、神さまの裁きはアッシリア帝国により現実となったのです。首都サマリアは陥落しました。紀元前722年のことです。この崩壊は、北イスラエル王国が回復する道を失わせてしまったのです。南王国ユダは、アッシリア帝国への莫大な貢物をもって全き服従をなし、かろうじて崩壊を免れることができました。

 問題は、ただ御独りの主なる神さまから逸脱し、異教の神々に依り頼む信仰の在り方にありました。北王国イスラエルは、悔い改める間もなく滅びてしまいましたが、南王国ユダは、王さまの悔い改めと懸命な礼拝の改革を進め、王国を何とか回復させたのです。それでも、罪の根は深く、アッシリア帝国に代わって台頭したバビロニア帝国により紀元前587年バビロン捕囚へと突き進むのです。

 預言者ミカは、滅びの中に救いの兆しを見ていたのです。救いの兆しは2つのビジョンとして与えられました。

 1つは、散り散りになった羊の群れが囲いの中に集められるように、主なる神さまが四散した残りの民を1つの囲いの中に集めてくださるビジョンです。

 もう1つは、堅固な砦に閉じ込められた民を王が城門を打ち破って民を救い出すように、主なる神さまが捕えられた残りの民を城門から導き出される、解放のビジョンです。

 この2つのビジョンは、預言者ミカにとりまして、絶望的な民に希望の光をともしたのです。

 ミカの預言の中でも、なじみの深い御言葉があります。

  4章3節「彼らは剣を打ち直して鋤とし

       槍を打ち直して鎌とする。

       国は国に向かって剣を上げず

       もはや戦うこと を学ばない。」

 農民の日常の営みを彷ふつとさせ、平和な光景を見る思いがします。

  5章1節「エフラタのベツレヘムよ

       お前はユダの氏族の中でいと小さき者。

       お前の中から、わたしのためにイスラエルを治める者が出る。

       彼の出自は古く、永遠の昔にさかのぼる。」

 クリスマスを迎えるアドベント(待降節)に読まれる御言葉です。

 ミカは、都市部の晴れやかな生活からではなく、むしろ身を置いた農村の営みの中から、小さき者、貧しき者への思いが主なる神さまの愛の御心であることを思い描くのです。

【囲う力】

 では、四散した民を1つの囲いの中に集める主なる神さまが与えてくださった最初のビジョンはどうでしょうか。

 それは、イエスさまがたとえ話として教え諭された御言葉に見ることができます。ルカによる福音書15章の3つの連続したたとえ話です。「見失った羊のたとえ話し」「無くした銀貨のたとえ話し」「放蕩息子のたとえ話し」です。特に、迷い出た羊を見つけ出して囲いの中に連れ戻す羊飼いの姿を思い起こさせるのです。四散した民が主なる神さまによって御許に集められ、1つの民に回復するのです。

 12節の御言葉に告げられた通り実現することになるのです。

  「わたしは彼らを羊のように囲いの中に

   群れのように、牧場(まきば)に導いてひとつにする。

   彼らは人々と共にざわめく。」

 集められた残りの民は、救われた喜びを体いっぱいに神さまへの賛美をもって表すのです。「ざわめく」以上に、心は賛美せずにはおられない喜びと感謝に満ち溢れるのです。

 預言者ミカは、主なる神さま御自身の御業による救いの希望を力強く告げるのです。

【破る力】

 では、破る力はどのようなビジョンとして証しされているのでしょうか。破る力は、戦いに勝利した王さまの姿をもって現されるのです。強固な城壁に囲まれた真正面の城門を打ち破り、閉じ込められていた残りの民をその城門から救い出される王さまの姿です。それは神さまが実現される愛と憐れみの御力として証しされているのです。

 このイメージは、イエスさまのたとえ話しを思い起こさせます。北王国イスラエルの首都サマリアに生き残ったわずかなサマリア人が南王国ユダによって回復されたエルサレムのユダヤ人と1つになるビジョンです。

 サマリア人とユダヤ人の対立の根は深いものでした(ルカ福音書9章51~56節)。ですが、イエスさまは、ルカによる福音書11章25~37節「善いサマリ人のたとえ話し」として告げらるのです。かたくなな両者の心の城門は破られ、同じ神の民として1つになるのです。この現実は、神の御子イエスさまの十字架と復活という大いなる神さまの救いの御業によって実現されるのです。

 わたしたちは、預言者ミカの御言葉にわたしたちの置かれている現実を重ね合わせてみることができます。いかんともしがたい新型コロナウィルス感染の脅威の中に封じ込められて、外へ出ても、心の中はドキドキものです。どのように感染するのかが分からない不安がいつも心の中にくすぶっているからです。先にご紹介した「渋柿」の話しを思い起こします。渋柿の渋を封じ込め、甘柿に変える知恵を与えてくださったのは神さまです。人には偶然に甘くなったと思えることも、その背後には神さまの御業があったことに気づかされるのです。このことは、わたしたちに今告げるのです。主なる神さまの救いの御業に依り頼み、その実現を待ち望み続ける忍耐と信仰の大切さです。

【先頭に立たれる主】

 囲う力をもって散らされた残りの民を1つに集めてくださる神さまが共にいてくださいます。破る力をもって残りの民を城門から救い出してくださる神さまが共にいてくださいます。それは、わたしたちに救いの確かさを実現してくださる証しなのです。この証しこそ、御子イエスさまをわたしたちの世におくってくださった神さまの真実なのです。

 神さまは、困難と苦難に取り囲まれ、閉じ込められた現実から御子イエスさまの十字架と復活によってわたしたちを救い出してくださいました。コロナから渋が取り除かれた後にやってくる深い甘みは、わたしたちに本当の安らぎと喜びと感謝を回復させてくださる神さまの救いの約束であり、確かなしるしなのです。耐え忍びながら御子イエスさまの御降誕の日を待ち望みましょう。

 主なる神さまがいつも先頭に立って歩んでくださることに思いを馳せながら、その御後に従って歩み続けてまいりましょう。

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