説教『安らぐ』牧師 若月健悟

2020年12月13日(日)待降節(アドベント)第3主日礼拝説教要旨

《聖書》フィリピの信徒への手紙4章4~9節

【はじめに】

 パウロ先生は、フィリピ教会の信徒に宛てて手紙を書きました。書き終えるにあたり、別れの言葉に何がふさわしいかと考えて、思い浮かべた言葉が「喜びなさい」でした。

 フィリピ教会は、パウロ先生が伝道の成果として立ち上げた新しい教会です。誕生間もない教会の信徒たちは皆純真で、目をキラキラと輝かせ、信仰に燃えていました。ですが、パウロ先生が、フィリピの町から、新たな伝道の地へと旅立ち、こともあろうに、パウロ先生の伝道に反対する人々に訴えられて、逮捕され、獄中の生活を余儀なくされていました。そのような時、フィリピ教会は、新たにやってきた教師たちにより混乱してしまったのです。パウロ先生の〝信仰のみ〟との福音理解に対して、新たな教師たちは、福音と律法を両立させることを教えたのです。教会の混乱は、間もなく獄中のパウロ先生のもとに伝えられました。エパフロディトという教会の誠実な奉仕者がパウロ先生のお世話とともに、教会の現状を伝えたのです。ところが、エパフロディトは病気になってしまったのです。フィリピ教会の問題解決を図るために、パウロ先生の伝道の協力者であり、弟子の1人テモテとエパフロディトをパウロ先生のもとから送ることになったのです。パウロ先生の手紙を携えてのことです。

 手紙の最後に書き留めた御言葉が、「喜びなさい」です。それも2度繰り返すのです。

「主において常に喜びなさい。重ねて言います。喜びなさい。」(4節)

 フィリピ教会の現状は、喜んでいる場合ではなかったのです。それを十分に承知していながら、パウロ先生は「喜びなさい」と繰り返すのです。喜べない時に、どうして喜べるのでしょうか。

 パウロ先生は、喜びに込められた信仰の意味を2つのことを通して教え諭すのです。

 1.主はすぐ近くにおられること(5節)。

 2.神の平和が守ること(7節)。

【主はすぐ近くにおられること】

 喜びの確信は、主つまり神の御子イエスさまが近くにおられる、との信仰にあります。時間の近さと共に、場所の近さの意味を込めて用いています。

 毎週木曜日の〝聖書の学びと祈りの会〟では、現在、旧約聖書の歴代誌上を学んでいます。イスラエル十二部族の部族ごとの家系図をまとめた書物です。先週は15章を学びました。石の板2枚に刻まれたモーセの十戒を収めた神の箱は、長い間キルヤト・エアリムという町に置かれたままになっていました。初代の王サウルの時代、戦争が長引いていたからです。2代目の王ダビデは、神の箱を国と信仰の中心に据えるためにエルサレムの町へと運ぶことにしました。

 ところが、途中事故があり、3か月間再び留め置かれたのです。ダビデは、運搬の仕方を指示した過ちを認め、悔い改めました。悔い改めの3か月が経ったころ、再び神の箱をエルサレムへと運ぶのです。ダビデ王は、訓練を積んだ詠唱者と呼ばれる聖歌隊と楽器を奏でる楽隊を編成して行進するのです。あまりの喜びに、ダビデ王は、裸になって狂喜乱舞するほどでした。歴代誌上15章を学びながら、神の箱を中心とする礼拝は喜び祝うことにある、と教えられました。

 ですが、神の箱はそれから4百年後に起こったバビロン捕囚によって失われてしまうのです。礼拝の中心が失われ、暗闇に閉ざされてしまった現実の厳しさの中で、神の箱に代わる新たな礼拝の中心が見出されたのです。それが〝神の御言葉〟をまとめた聖書なのです。礼拝の中心は聖書の御言葉へと移り、わたしたちはその礼拝を継承したのです。それだけではありません。ダビデ王が編成した詠唱者と呼ばれる聖歌隊、伴奏する楽隊としての奏楽をも継承したのです。

 礼拝が喜び祝うことを確かにしたのは、御子イエスさまの十字架と復活によって実現された救いにあります。聖書の御言葉からその真実をいただいているのです。日曜日ごとに巡ってくる主日礼拝は、御子イエスさまの復活の喜びをいただく時ですが、それは、ダビデ王が神の箱をエルサレムへと運び入れ、新たな礼拝を喜び祝う信仰に見ることができるのです。

喜びと信仰がひとつに結びつく時、ダビデ王は神の箱を通して〝神さまが今ここに一緒にいてくださる〟という神さまの臨在の確かさを知りました。わたしたちは今、御言葉と聖餐を通して主である御子イエスさまの臨在を味わい知るのです。

【神の平和が守ること】

 では、もう1つの「神の平和が守る」という信仰の喜びはどうでしょうか。どこに平和があるのか、と問いかけたくなる現実です。先行き不透明な時代の中で、漠然とした不安だけ世界を包み込んでいるように思えてきます。パウロ先生は、そのような時代と世界に向かって獄中から確信をもって書き送るのです。

 「どんなことでも、思い煩うのはやめなさい。何事につけ、感謝を込めて祈り願いをささ

  げ、求めているものを神に打ち明けなさい。そうすれば、あらゆる人知を超える神の平

  和が、あなたがたの心と考えとをキリスト・イエスによって守るでしょう。」(6~7

   節)

 イエスさまは、「空の鳥を見なさい。野の花を見なさい」とおっしゃられ、空の鳥、野の花は神さまの養いの中にある、と告げられたのです。自分のことで思い煩っていると、空の鳥も野の花も目に入ってこなくなります。だからこそ、空の鳥を包み込む世界の広さ、野の花を生かす大地の確かさへと心と目を開くのです。すると、これまで見えていなかった神さまの御造りになった世界の真実が見えてくるようになるのです。空の鳥、野の花を通して見えてくる世界の真実は、神さまが養い育ててくださる〝命〟なのです。

 パウロ先生が告げたかったこともまた、〝命〟にあるのです。どのような〝命〟も神さまが御造りになった〝掛け替えのない命〟なのです。だからこそ、神さまは御子イエスさまの十字架と復活を通して、終りのある〝命〟から〝永遠の命〟へと代えてくださることを約束されたのです。神の平和が守る真実は、信仰によって見えてくる〝永遠の命〟にあるのです。

 思い煩い、思い悩むことによって心に安らぎが満たされることはありません。むしろ、ますます心は乱れ、考えは混乱するだけです。神の平和は、信仰から生まれるのです。信仰によって与えられる神の平和は、混乱した考えを整理させ、心を安らわせる力なのです。神の平和に守られている信仰に気付かされる時、心に安らぎが戻り、喜びが心を満たしているのを実感するのです。

【安らぎを求めて】

 パウロ先生は、手紙を終えるにあたりまして、心に留め、実行するようにと告げるのです。

 「すべて真実なこと、すべて気高いこと、すべて正しいこと、すべて名誉なことを、また

  徳や称賛に値することがあれば、それを心に留めなさい。」(8節)

 これらを1つの言葉で言いますと、〝嘘をつかないこと〟です。ただ1つの嘘が、真実、気高さ、正しさ、名誉、徳、称賛を打ち消す結果となるからです。〝嘘をつかない信仰生活〟に徹することが、神の御子イエスさまの十字架と復活に基づく信仰を深めるのです。

 ですが、なかなかそうはいかないのが、わたしたちの現実です。ただ1つの嘘が、雪だるま式に嘘を嘘で塗り固め、ついには、嘘を真実であるかのように見せかけようとするのが、わたしたちの心の深くにある罪の現実です。この根深い罪が取り除かれなければ、心に安らぎが満たされることはありません。

 それで、パウロ先生は、告げるのです。

 「わたしが学んだこと、受けたこと、わたしについて聞いたこと、見たことを実行しなさ

  い。」(9節)

 パウロ先生がフィリピ教会の信徒たちに告げたかったことは、福音信仰の継承なのです。誰にも惑わされることなく、神の御子イエスさまの十字架と復活の信仰に固く立ち、次の世代に継承することです。このことによって、フィリピ教会の信徒たちの信仰はいっそう確かなものとなるのです。そのためには、根の深い罪の現実に気づき、悔い改めて御子イエスさまへと立ち帰り続けるのです。主なるイエスさまは、今ここに一緒にいてくださるからです。

 真の安らぎは、この信仰によって心に満たされるのです。心配事、思い煩いがなくなったから心が安らぐのではないのです。御子イエスさまを通して与えられる信仰が心に安らぎを回復させるのです。

 間もなくクリスマスを迎えます。悔い改めつつ、心の重荷を御子イエスさまの御前におろしてまいりましょう。

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