説教『慰めの主』牧師 若月健悟

2021年1月3日(日)新年・降誕節第2主日礼拝説教要旨

《聖書》コリントの信徒への手紙二 1章3~7節

【はじめに】

  一昨日の元旦礼拝では、預言者イザヤの御言葉から、預言者の働きが過去・現在・未来にわたり、神さまと人との仲介役を果たしたことを学びました。「昔から常に、彼らを負い、彼らを担ってくださった」とのイザヤの御言葉の真実は、神の御子イエスさまの十字架と復活によって実現されたことを心に留めることができました。イエスさまの十字架と復活こそが、わたしたちの罪を負い、担われたからです。つまり、救われたからです。

 そして今、わたしたちは、パウロ先生から、神の御子イエスさまを救い主キリストと信じる信仰によって「慰め」を受けていることを告げられるのです。慰め、それは何をさしているのでしょうか。パウロ先生の御言葉から、慰めについての教えを受け、その慰めを与えてくださる主イエスさまのことを心に留めたいと思います。

【慰め】

 慰めという御言葉は、パウロ先生の手紙では、〝救い〟という意味で用いられています。とても豊かな意味を持っています。慰めは、一般的な意味ではなく、パウロ先生はクリスチャンに与えられる〝信仰の慰め〟という意味で用いています。ですから、一般に用いられている慰めとは違った意味になります。つまり、慰めには〝信仰〟と切り離せないために、〝信仰〟なくしては、クリスチャンの慰めは、その時だけの、その場限りのこととなってしまうのです。継続しないのです。そのために、苦しい時の神頼みで、苦しみに会っている時には、その苦しみが早く取り去られるように一所懸命に祈り、神さまを本気で信じようとするのですが、苦しみが去ってしまいますと、神さまなしの日常に戻ることになるのです。〝信仰の慰め〟の門口に立つことはできますが、その先がないのです。

 それで、パウロ先生は、クリスチャンの慰めは信仰を持つゆえに深い慰めを得ることができると語り掛けるのです。

【御子イエスさまの仲介】

 慰めについて、パウロ先生の理解には、2つ方向があることに気づかされます。神の御子イエスさまを仲介として、神さまから人へ、人から人へという2つの道筋です。イエスさまが仲介されるというのは、イエスさまの十字架と復活にあります。イエスさまの十字架と復活を仲立ちにして、神さまから人へ、人から人へと慰められ、救われるという図式になるのです。

 十字架を思い浮かべますと、縦の木と横の木が組み合わさっているだけですが、十字架が大地に立てられますと、そこに明確なビジョンが生れるのです。ビジョンとは、十字架の縦木が、天と地を結んでいるイメージのことです。それは、天の神さまと地にある人を結んでいることにあります。その縦木がイエスさま御自身であることです。イエスさまという縦木が天の神さまと地にある人を結ぶのです。ここに信仰が生れるのです。

 では、横木はどうでしょうか。横木は人と人とを結ぶイメージです。人と人とを仲介する横木がイエスさまなのです。イエスさまを仲立ちとして、人と人との信頼が生れるのです。

神の御子イエスさまが仲介に立たれると、神さまと人との間に信仰が生れ、人と人との間に信頼が生れるのです。

 この信仰と信頼という2つの関係が、パウロ先生のいう〝慰め〟なのです。

【信仰という慰め】

 コロナ感染拡大が勢いを増している現状から、初詣も自粛を余儀なくされていますので、神社への初詣はかなり厳しく制限されていると報道されています。神社側も初詣は1年間の財政を賄う時ですので、いろいろと対策を取っているようです。その1つに、〝祈祷文〟や〝御札〟のネット販売があります。家内安全・無病息災・合格祈願など、さまざまな祈り願いを込めた祈祷文や御札が、料金を払えばネットで申し込めるのです。〝神社に詣でてもネットで購入しても効力は同じです〟と神主さんがインタビューに答えていました。コロナ時代の神社信仰の在り方を教えられました。

 確かに、時代に即応した信仰の在り方が問われる2020年でした。では、教会はどうでしょうか。祈祷文も御札も1年間有効という期間限定商品です。そのため、毎年新たに購入することが大切です。それに対して教会は、祈祷文も御札もありません。ただ聖書の御言葉だけが頼りとなります。

 人が生死の境まで追い詰められた時に何に寄り頼むのかといいますと、それは信仰にあります。

 前に、ある青年のお話しをしました。交通事故で、首から下が動かせなくなった青年のことです。高校時代に通ったキリスト教主義の学校では、毎朝礼拝が献げられました。皆で唱和する〝主の祈り〟は、嫌でたまらなかったのですが、事故に遭い、意識だけが働くだけの状態で依り頼んだのは〝主の祈り〟でした。否が応でも巡ってくる毎晩の消灯時間の暗さは耐え難い苦しみの地獄でした。その時、意識の中に言葉となって実を結んだのが〝主の祈り〟でした。口をついで出た〝主の祈り〟は、〝天にまします我らの父よ〟と始まります。言葉に出して祈り始めると、なぜか心が休まったのです。不思議なことでした。苦しい時、切なくなった時、眠れない夜に〝主の祈り〟を祈ると深い慰めに満たされ、安らいで眠りが与えられるようになったのです。御子イエスさまの十字架は、元気な時には、他人事でした。ですが、自分では動かせない体になって、イエスさまの十字架が〝惨めな自分の深い慰め〟と信じられるようになったのです。

 信仰は、御子イエスさまを仲立ちとして、天にある神さまと青年を結ぶ慰めであり、救いとなったのです。

【信頼という慰め】

 人の心は、神さまが信じられるようになりますと、人を信頼したいと思えるようになるのです。近づきたくない人、関わりを持たずにいたいと思う人がいます。ですが、そのような人に限って、切っても切れない糸でしっかりと結び合わされているように、どこかで出会い、結びついてしまうものです。

 今ご紹介しました青年は、高校時代は、やむなく学校の礼拝に参席しましたが、教会は全く眼中にない生活をしていました。その青年が、事故を通して、クリスチャンであったお母さまの勧めで、教会の牧師であるわたしに会い、次第に心を開き、聖書の話しを聞き、イエスさまの話しに耳を傾けるようになったのです。そして3か月後、退院して別れる時には、このように話してくれました。〝母の通う教会へ車椅子に乗って通います〟と、約束してくれたのです。何の関わりもなかったわたしたちですが、青年の心に聖書の御言葉が慰めとなり、御言葉を通して信頼関係が結ばれたことを実感しました。

【慰めの主】

 パウロ先生は、告げるのです。

 「わたしたちが悩み苦しむとき、それはあなたがたの慰めと救いになります。また、わたしたちが慰められるとき、それはあなたがたの慰めになり、あなたがたがわたしたちの苦しみと同じ苦しみに耐えることができるのです。」(6節)

 イエスさまを神の御子キリストと信じ、信仰をもって天を見上げ、人を見る時、信仰と信頼が生れることを、パウロ先生はわたしたちに教え諭してくださるのです。その信仰と信頼こそが、「揺るぎのない希望となる」(7節)のです。

 パウロ先生は、ローマの信徒への手紙5章を通して信仰の奥義を教えてくださいました。

「苦難は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を産むということを。希望は欺くことがありません。」(3~5節)

 今は苦しみの時です。自然災害に始まったコロナ感染拡大は、既に人災と思えるような現実に変わっています。コロナ感染拡大はそのほとんどが人を媒介としているからです。今は忍耐を強いられる時です。ですが、わたしたちは、何もかもが空しいと嘆くだけではなく、〝生きる知恵〟を見出しつつあります。それが練達です。練達は〝生きる希望〟へと導いてくれます。御子イエスさまにしっかりと結び付く信仰に生きる時、希薄になりかけた人との信頼関係を、もう一度結び直そうと励むことができるからです。

 御子イエスさまを仲介者、救い主として、天の神さまと結び合い、人と結び合ってまいりましょう。ここに、深い慰めがあり、揺るぎない救いがあるからです。慰めの主イエスさまの十字架と復活に依り頼み、御言葉に導かれて、新しい年もご一緒に歩み続けましょう。

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