説教『真実の証し』牧師 若月健悟

2021年5月30日(日)三位一体日・聖霊降臨節第2主日礼拝説教要旨

《聖書》エフェソの信徒への手紙1章3~14節

【はじめに】

 パウロ先生は生涯3回の伝道旅行をしまして、エフェソの町を訪れたのは「第3伝道旅行」の時です。その当時、エフェソの町には、もっとも美しい神殿と称された〝アルテミス神殿〟がありました。小アジア、現在のトルコ共和国の中にあって、エフェソの町は、港町として活気を呈していました。最初の住民はアジア系の人々でしたが、ギリシア人が支配し、最後はローマ人が支配しました。アジア系の信仰から始まり、ギリシアの信仰が入って、アルテミス神殿が完成しました。ギリシアの女神アルテミスは、世界の女神として崇拝されました。

 アルテミス女神は、皆さまも写真とかイラストでご覧になったことがあるのではないかと思います。胸にたくさんの乳房をつけた女神の立像です。足元には魚のひれが見られます。大地と海の女神と仰がれたことが分かります。アルテミス神殿は、破壊されては再建を繰り返しました。ですが、紀元後3世紀に破壊され、終焉を迎えました。およそ1千年の歴史を刻む神殿です。

 パウロ先生がエフェソ伝道を行った時には、アルテミス神殿礼拝は、絶頂期を迎えていました。そこで、キリスト教の伝道をするのですから、容易ではありません。それでも、エフェソ伝道は大きな成果を上げました。ギリシア・ローマへの地中海北岸伝道の拠点の1つとして重要な役割を担うことになったのです。

 エフェソの信徒への手紙は、主に、信仰の要となる教えを中心に説き明かしています。アルテミス女神を崇拝する人々が無病息災、商売繁盛、安心安全旅行、町の発展を願う現世利益の雰囲気が支配し、魔術信仰まで横行する町の中で、十字架の死を遂げられたイエスさまこそ復活の主キリストであるとの信仰の核心を伝えるのです。そのために、パウロ先生が建てたエフェソ教会のクリスチャンに、手紙を通してキリスト信仰にしっかりと立ち、道を誤らないようにと情熱を傾けて書き送るのです。

 では、最初に伝えようとしたことは、どのようなことでしょうか。

【三位一体の神】

 1章3~14節で伝えていることは、三位一体の神の信仰についてです。

 わたしたち教会の信仰は、三位一体の神信仰によって、クリスチャン信仰の真実を証ししています。「父なる神、子なるキリスト、聖霊」を三位一体の神と信じる信仰です。天の神さまが「父」と呼ばれるのは、キリストであるイエスさまが「父」と呼ばれたからです。イエスさまは、天の父の「子」である、との思いから発せられた御言葉です。聖霊は、父と子とともにその最初から、地上の人々に救いの御計画を気づかせ、それを人々の間で実現するために遣わされたのです。

 では、三位一体の神は、どのようにして、わたしたちに救いの御計画を気づかせようとしているのでしょうか。

【子であるキリスト】

 最初に、4節でこのように告げるのです。

 「天地創造の前に、神はわたしたちを愛して、御自分の前で、聖なる者、汚れのない者に

  しようと、キリストにおいてお選びになりました。」

 この御言葉は〝予定説〟と呼ばれていまして、天地創造の前から、教会が選び取られ、神さまの御計画が進められるというのです。この御言葉は、現在のわたしたち教会をも含むのです。既にそのような御計画が神さまの御心にあり、それを執り成す御子イエスさまにおいて実現され、聖霊がそれをわたしたちに気づかせ、わたしたち教会から地域に発信するのです。

 その目的が5節に告げられているのです。

 「イエス・キリストによって神の子にしようと、御心のままに前もってお定めになったの

  です。」

 御子イエスさまは、父の御心である御計画を託され、実現するために、御子としての御業を進められるのです。その御計画の目的は、わたしたちが父なる神さまの御前で「聖なる者、汚れのない者」つまり「神の子」として立つためなのです。そのために、御子イエスさまが歩まれた道が十字架の道なのです。御子の十字架だけが、罪深いわたしたちを贖い清めて、聖なる者へと変えてくださるのです。わたしたちが神の子となるために、御計画は人の思いを超え、確実に進められたのです。

 父なる神さまの御計画は、御子の十字架から復活へと進められました。御子の復活によって、わたしたちが神の子として父の御前に永遠に立ち続けることが約束されたのです。イエスさまの復活は、父から遣わされたただ御独りの御子であることの証しなのです。

 父なる神さまの御前に立つことは、復活の命である永遠の命が与えられてこそ、実現されます。父のおられる神の御国において実現される永遠の命でなければ、わたしたちの信仰の勝利とはならないのです。信仰が完成されるのは、御国において、神さまの御前で「神の子」として立つ時に実現されるのです。神さまを「父」と呼ぶことが赦され、わたしたち1人1人が、天の父から「わたしの子よ」と呼び掛けられるのです。それは、イエスさまが「父よ」と祈り語りかけられた天の神さまが、わたしたちの真の父として、「聖なる者、汚れのない者」とされたわたしたちとともに永遠にあることの証しです。

 御子イエスさまは、地上にあっては十字架と復活を通して、天にあっては父の右に座して、わたしたちを、今も執り成してくださるのです。こうして、わたしたちは「神の子」として迎えられるのです。

【聖霊による保証】

 では、イエスさまの執り成しが今も天においてなされている確証がどこにあるのでしょうか。それは、天から遣わされた聖霊により、教会を通して今も約束されているのです。

 13節には「約束された聖霊で証印を押されたのです」とあります。14節には「この聖霊は、わたしたちが御国を受け継ぐための保証であ」るとあります。

 13節の「聖霊による証印」というのは、このような意味です。証印はその所有者を確定するために用いられます。たとえば、エゼキエル書9章4節では「嘆き悲しんでいる者の額に印を付けよ」とありますが、神さまにより「印」をつけられた人は神さまの裁きから救われることを意味します。その「印」が「証印」なのです。つまり「聖霊による証印」は「神の子」とされた、神さまの救いの証しなのです。このことは、わたしたち教会では、「洗礼を受けること」を意味します。洗礼こそ「聖霊の証印」であり、〝見えるしるし〟なのです。

 次の「聖霊が御国を受け継ぐための保証」というのは、どのような意味でしょうか。「保証」は元々、担保とか手付金という意味です。ですから、わたしたちが洗礼を受けた時に、天の御国へ招いてくださる保障として聖霊を受け取ったことを意味するのです。教会で執行される洗礼の儀式は、わたしたち1人1人が聖霊を受け、御国への救いの保証として執行されるのです。イエスさまはヨルダン川で洗礼者ヨハネから洗礼を受けられました。その時、イエスさまに天の父からの呼び掛けがあり、「聖霊が鳩のようにご自分の上に降って来るのをご覧になった」(マタイ3章16節)とあります。イエスさまに起こった真実がわたしたちに実現されたのです。聖霊は、天の御国つまり天におられる父と子とわたしたちを結ぶ証印であり、生ける保証なのです。

【栄光賛美】

 旧約聖書において約束され、新約聖書において実現された、罪人であるわたしたちの救いは、天地創造の前に父と子と聖霊によって計画されました。わたしたちを天の御国へと招くために、地上では御子イエスさまの十字架と復活により罪赦されて「聖なる者、汚れない者」とされました。その真実は、教会において今、洗礼という証印を聖霊により受け、御国への確かな保証をいただいているのです。このあたりの聖書の証しをしっかりと心に宿しておくことこそ、わたしたちクリスチャンの信仰の証しです。

 父、子、聖霊の三位一体の神さまは、昔も今も、そしてこられからもわたしたちが御国へと召される日まで、聖霊の証印と保証をもって守り導いておられるのです。何と大いなる救いの恵みの御業かと心から主の御名をたたえたいと思います。

 14節結びの御言葉を拝読いたします。

 「こうして、わたしたちは贖われて神のものとなり、神の栄光をたたえることになるので

  す。」

 今朝は、三位一体日です。この日、父と子と聖霊がわたしたちの真の神であることが証しされました。心から御名をたたえて歩みましょう。

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